小児期・青年期の足関節捻挫は将来に影響するのか?|最新エビデンスでわかる長期的リスク

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【要約】小児期・青年期の足関節捻挫が将来の機能障害につながる理由

  • 足関節捻挫は小児期・青年期に最も多いスポーツ外傷であり、長期的な影響を残す可能性がある
  • 重度の捻挫(4週間以上の離脱を要するもの)は、軽度の捻挫に比べて、痛みや症状が強く、QOLが低下している可能性がある
  • 重度の捻挫を経験した人は将来的に足関節障害を抱えるリスクが高い可能性がある

【科学的知見】小児期・青年期の足関節捻挫に関する最新研究

足関節捻挫の発生頻度と子どもに多い理由

足を痛がる子供写真

足関節捻挫は、スポーツ活動において最も頻度の高い外傷の一つである。Fongら(2007)の系統的レビューによれば、競技者における発生率は15〜20%にのぼり、特にバスケットボールやサッカーなど、方向転換やジャンプを繰り返す種目で多発することが示されている。1)小児期や青年期は靭帯や骨端部の強度が十分に成熟していないため脆弱であり、さらに競技参加頻度が高いことから、成人よりも受傷リスクが増加する可能性がある。

捻挫が慢性化する?慢性足関節不安定症(CAI)への移行リスク

足関節捻挫は一過性の外傷と考えられがちだが、慢性的な症状を残すことがある。特に慢性足関節不安定症(Chronic Ankle Instability: CAI)に移行する例では、繰り返す疼痛や可動域の制限が生じ、スポーツパフォーマンスの低下や日常生活への支障につながる可能性がある。2)小児期・青年期の受傷は、成長に伴う関節構造や神経筋制御の発達に影響を及ぼし、その後の身体機能に長期的な障害を残すリスクがある。

重度捻挫は予後が悪化しやすい|4週間以上の離脱が示す危険信号

重度の捻挫、すなわち4週間以上のスポーツ活動からの離脱を要する靭帯損傷は、非重度の捻挫と比べて予後不良であることが示されている。Owoeyeら(2023)の研究では、受傷から3〜15年を経過した若年成人を調査した結果、重度捻挫を経験した群では痛みや不快感が持続し、スポーツ活動や生活の質(QOL)の低下が認められた。3)これは単に靭帯の損傷にとどまらず、神経筋制御の低下や再受傷リスクの増大を引き起こす可能性があると考えられている。

性別・経過年数に関係なく続く影響|長期リスクを示す研究結果

重度捻挫による長期的な影響は、性別や受傷からの経過年数に依存せず一貫して認められる。つまり、男性・女性を問わず、また受傷後3年であっても15年であっても、重度捻挫の既往を持つ者は非重度捻挫の既往者に比べて有意に症状を抱える可能性が高い.3)この結果は、性差や時間経過に関係なく、重度捻挫後の患者に対して長期的なリハビリや予防的介入を行う必要性を示している。

臨床的意義|子どもの捻挫を軽視してはいけない理由

小児期や青年期における重度足関節捻挫は、将来的に慢性足関節不安定症や関節障害へ進展するリスクを高める重要な因子である。そのため、臨床現場では「ただの捻挫」と軽視せず、初期段階から適切な評価と治療を行うことが求められる。さらに、受傷後のリハビリでは神経筋制御の改善や固有感覚の回復を目的としたプログラムを導入し、段階的な競技復帰を計画的に行う必要がある。これにより再受傷のリスクを軽減し、長期的な機能障害の予防につながると考えられる。加えて、性別や受傷からの経過年数に関わらず影響が持続することを踏まえると、長期的なモニタリング体制を確立することが臨床的に重要である。

【感想】「足関節捻挫は軽症」では済まされない|臨床家としての気づき

今回の研究を読んで強く感じたのは、「足関節捻挫は決して軽いケガではない」ということです。スポーツ現場ではどうしても「捻挫だから大丈夫」「少し休めば治る」といった認識が根強くあります。私も学生時代捻挫を軽く見ておりました。しかし、この論文が示すように、重度の捻挫は3〜15年という長い時間を経ても、痛みや生活の質に影響を及ぼす可能性があります。

これは臨床家としても見逃せない事実だと改めて思いました。さらに注目すべきは、性別や年齢、受傷からの経過年数にかかわらず影響が残っていたという点です。つまり、初期対応の重要性は誰にでも当てはまる普遍的な課題であり、「そのときだけ良ければいい」では済まされないということです。だからこそ、これからの課題は「再発予防」と「機能回復」にもっと焦点を当てることだと思います。今回、この論文で学んだことを臨床や子供の運動教室に生かしていきます。

引用文献

1)Fong DT, Hong Y, Chan LK, Yung PS, Chan KM. (2007). A systematic review on ankle injury and ankle sprain in sports. Sports Med, 37(1), 73–94.

2)Hertel J. (2002). Functional anatomy, pathomechanics, and pathophysiology of lateral ankle instability. J Athl Train, 37(4), 364–375.3)Owoeye OBA, Paz J, Emery CA. (2023). Injury severity at the time of sport-related ankle sprain is associated with symptoms and quality of life in young adults after 3–15 years. Ann Med, 55(1), 1–8.

作成者:桑原 資格:理学療法士

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