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疼痛の感じ方を左右する要因とは?性差・心理・最新技術の影響を解説

  • 2025.01.17

■疼痛の感じ方に影響する要因

  • 性差は生物の侵害需要系と免疫系における重要な変数である
  • ヨガや理学療法は破局感の軽減に有用である
  • VRの適用は疼痛の軽減とROMの改善にも有用である可能性が高い
  • 否定的感情は疼痛を増幅させる

■科学的知見で解明!疼痛とその要因

【性差と疼痛】女性と男性の感じ方の違い

男女イメージ画像

急性痛の感受性にも性差があり、性差は生物の侵害受容系と免疫系における重要な変数である1)。Natalieら2)によると最近の研究では、女性も対象とすることで、痛みの根底にある生理学的メカニズムに大きな性差があることが明らかになっている。その中には、痛みのシグナル伝達に影響を及ぼすホルモンと免疫系の相互作用だけでなく、異なる遺伝子やタンパク質の性差による関与も含まれている。ヒトの神経画像から、痛みに関連する神経回路における性差が明らかになっており、慢性疼痛状態における性差に特異的な脳の変化もそのひとつである。しかし、性別間での疼痛の違いが及ぼす影響やそれぞれの治療効果については未だ解明されていないことが多く、研究者や担当者が個人に合わせた最適な治療選択をそれぞれ行なっていく必要がある。これは、同じ疾患名であっても症状に合わせて処方される薬が異なることと合致している。そのため、問診によって重要な情報を抽出していきながら治療方針を決めていくことが重要となるのだと考えられる。

【ヨガと理学療法】破局的認知と痛みへの効果

Allisonらの研究4)によると、ヨガと理学療法による介入を受けた患者において、痛みの自己効力感に有意な改善 5)を認めた。彼らの知見は、ヨガ、理学療法、疼痛関連教育が、破局感を軽減するのに有用であることを示唆している。これは、cLBP(慢性腰痛)介入に関する先行するランダム化比較試験の知見と類似しており、3つの積極的介入(理学療法士による監督下の運動、認知行動療法、運動と認知行動療法の併用)により、破局的認知に緩やかな改善がみられたが、無介入群(理学療法を行っていない群)では改善がみられなかった 。6)これらを統合すると、Allisonらの研究は、疼痛に対する認知的評価が最適化された場合(すなわち、ベースライン時の自己効力感が高いか、自己効力感が肯定的に変化した場合)、疼痛と障害の改善が生じることを示唆している。またWibaultらの研究7)によると、痛みの認知的評価、主に痛みの自己効力感と破局感の改善は、痛みと腰に関連した身体機能のより大きな改善と関連していた。つまり疼痛は自身の心理状態と深く関係しているのだといえる。そのため、疼痛の訴えが強い患者の場合は構造変化による痛みだけでなく心理状態もコントロールしながら介入しなくてはならない。

【VR技術】疼痛軽減とROM改善の可能性

Rania R. Aliら8)は 9~16歳のTBSA(熱傷面積)10~25%の深達性II度熱傷に分類される子供たちを、対照群(受動的なROMエクササイズとストレッチのみ)と研究群(VRで好きなビデオを見てもらう+対照群と同じ治療)に分類し、痛みの感じ方にどのような違いが現れるのかを調査した。その結果、VRを適用した群に疼痛強度の有意な低下とROMの増加が認められた。この所見は、人工的な雰囲気に集中することで、患者の集中力を苦痛を与える刺激から遠ざけるという、痛みに対する卓越した気晴らしい鎮痛メカニズムの効果による可能性がある。9)今回の所見から、VRは小児熱傷患者における痛みの紛らわしのひとつと考えられ、長期的な効果を調べるためにさらなる研究が推奨される。

【否定的感情と疼痛】感情が痛みに与える影響

慢性疼痛と否定的感情との間の双方向の相互作用は、様々な過去の研究報告によって十分に確立されている。Marko11)の実験では、参加者224名(女性76.2歳、男性77.6歳)が21日間連続して日常的な痛み、痛みによる障害、感情について報告した。このマルチレベル分析の結果、痛みが増加した日には肯定的な感情が減少し、否定的な感情が増加することが示された。時間差のある結果として、否定的な感情は次の日への持ち越しが見られたが、肯定的な感情には次の日への持ち越しは見られなかった。また、日常的な痛みと感情との関連性については、一般的な身体的健康状態および健康に対する一般的な満足度に影響することが分かった。この研究結果から、高齢者の日常生活において否定的感情を減少させ、かつ肯定的感情を増やすといった感情のコントロールを行なっていく事が重要であり、この事がQOLの向上にも繋がると考えられる。

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■感想と今後の期待

疼痛の感じ方には単なるシグナル伝達の異常だけではなく、ホルモンや性差も関係しているということを知りました。確かに介入する上で女性の方が痛みに弱い印象があったので、このようにメカニズム的に解明できてよかったです。また、VRによる疼痛軽減やROM改善の研究は、ミラーニューロン効果のように脳に錯覚させることが関係しているため、片麻痺の方や可動域制限のある方に対して今後VRを利用したリハビリも行われてくるのではないかと思いました。

■引用文献

1)Shahrzad Ghazisaeidi et al. Neuropathoc Pain: Mechanisms, Sex Differences, and Potential Therapies for a Global Problem. ANNUAL REVIEWS. 2023 Jan 20: 63: 565-583.
2)Natalie R Osborne et al. Sex and gender differences in pain. ELSEVIER. 2022: 164: 277-307.
3)Christopher S Nielsen et al. Individual differences in pain sensitivity: measurement, causation, and connsequences. The JOURNAL of PAIN. 2009 Mar; 10(3): 231-237
4)Alison Marshall et al. Changes in Pain Self-Efficacy, Coping Skills, and Fear-Avoidance Beliefs in a Randomized Controlled Trial of Yoga, Physical Therapy, and Education for Chronic Low Back Pain. Pain Med.2022 Apr 8;23(4):834-843.
5)Chiarotto A, Vanti C, Cedraschi C, et al. Responsiveness and minimal important change of the pain self-efficacy questionnaire and short forms in patients with chronic low back pain. J Pain 2016;17(6):707–18.
6)Smeets RJ, Vlaeyen JW, Kester AD, Knottnerus JA.. Reduction of pain catastrophizing mediates the outcome of both physical and cognitive-behavioral treatment in chronic low back pain. J Pain 2006;7(4):261–71.
7)Wibault J, Oberg B, Dedering A, et al. Neck-related physical function, self-efficacy, and coping strategies in patients with cervical radiculopathy: A randomized clinical trial of postoperative physiotherapy. J Manipulative Physiol Ther 2017;40(5):330–9.
8)Rania R Ali et al. Virtual reality as a pain distractor during physical rehabilitation in pediatric burns. Burns. 2022 Mar; 48 (2): 303-308
9)H.G. Hoffman et al. Feasibility of articulated arm mounted Oculus Rift Virtual Reality goggles for adjunctive pain control during occupational therapy in pediatric burn patients
Cyberpsychol Behav Soc Netw(2014)
10)Eda Orhan, Duygu Gozen. The Effect of Virtual Reality on Pain Experienced by School-Age Children During Venipuncture: A Randomized Controlled Study. Games for Health Jounal. 2023 Aug; 12(4): 330-339
11)Marko Katana et al. Intra- and interindividual differences in the within-person coupling between daily pain and affect of older adults. Journal of Behavioral Medicine. 2020 Oct; 43(5):707-722

作成者:横田 資格:理学療法士

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